従来、日本のSF賞は
日本SF大会でSFファンの人気投票で決定する
星雲賞や公募の新人賞であるハヤカワSFコンテストがあったが、プロが選ぶSF賞は本賞が初である。1980年6月の日本SF作家クラブの総会で賞の設置が決定された。当時、SF雑誌『
SFアドベンチャー』を刊行し、SFに力を入れていた徳間書店が後援につき、副賞、授賞式、誌上発表についてSF作家クラブと協定が結ばれて発足した。当時の日本SF作家クラブの事務局長の
筒井康隆の働きかけで制定され、
直木賞の落選経験を持つ筒井の意向によって制定当初は、会員へのアンケート結果と候補作を発表しないことになっており、落選作が分からないように配慮されていた
[筒井康隆『笑犬樓よりの眺望』新潮社、1994年、p205。]。なお、筒井が本賞の制定に動いたのは、筒井が高く評価していた
大江健三郎の『同時代ゲーム』が不遇だったため、受賞させて再評価させようという意図だったという
[筒井康隆「私の名作ブックレビュー 若者よ「同時代ゲーム」を再評価せよ」『週刊新潮』2008年8月7日号。]。
選定の手続きは、毎年10月1日から9月30日の期間に発表された日本人によるSFの商業作品を対象に、日本SF作家クラブの会員に書面アンケートを実施。日本SF作家クラブの総会で選ばれた選考委員がアンケート結果を基に候補作を決定し、改めて開催された選考委員会で受賞作を決定する。