『流転の王妃』は昭和32年(
1957年)12月に
天城山心中で死んだ浩の長女・
愛新覚羅慧生の一周忌を記念して昭和34年(
1959年)に出版された浩自身の半生記
[舩木繁1989年『皇弟溥傑の昭和史』新潮社ISBN 4103723017、225頁]。なお、その一部は出版される前年に雑誌『文芸春秋』に掲載されていた
[入江曜子1998年『貴妃は毒殺されたか』新潮社ISBN 4104236012、343頁]。また、この本の骨子となるものとして昭和28年(
1953年)に発行された「運命に泣く浩子姫」(上妻斉『秘録大東亜戦史』富士書苑 所収)があった
[入江曜子1998年『貴妃は毒殺されたか』新潮社、343頁]。「運命に泣く浩子姫」は毎日新聞の上妻斉が浩を取材して書いたものである。「運命に泣く浩子姫」の内容は、浩の生い立ちから結婚、満州国での生活、満州国崩壊後の流転生活を経て日本に帰るまでが扱われており、原稿用紙にして200枚近くになる。『流転の王妃』はベストセラーとなり、
大映によって映画化された(下記を参照)。
昭和59年(1984年)に出版された『
「流転の王妃」の昭和史』は主婦と生活社からの依頼で『流転の王妃』に含まれる半生を当時の若い読者向けに書き直し、昭和36年(
1961年)に中国に帰国してから昭和55年(
1980年)頃までのできごとを書き加えて一冊にまとめたものである
[同書のあとがき]。浩は今度は、日本の人々に戦前体験した日中の不幸な関係や、戦後の新中国の姿を理解してもらうことによって、両国の友好に役立たせることができれば幸いである、という気持ちで執筆した
[舩木繁1989年『皇弟溥傑の昭和史』新潮社ISBN 4103723017、225・226頁]。同書は平成4年(
1992年)に新潮社から文庫化されたが、初版(主婦と生活者版)との間に多少の異同がある
[入江曜子1998年『貴妃は毒殺されたか』新潮社、426頁]。同書は平成15年(2003年)に
テレビ朝日開局45周年記念ドラマ『
流転の王妃・最後の皇弟』としてドラマ化された。