ある年の春、黄金色の仮面を被った怪人物の噂が世間を賑わせていた。噂が新聞の社会面にまで取り上げられるようになった頃、上野での博覧会にその黄金仮面が現れ、展示品の大真珠を盗んで逃げるという事件が起きた。それから数日後、日光市の鷲尾侯爵邸に黄金仮面から予告状が舞い込んだ。鷲尾氏所蔵の古美術品を盗み出すというのだ。鷲尾侯爵から連絡を受けた東京警視庁の波越警部ら刑事たちが厳重警備する中、侯爵の娘美子が何者かによって入浴中に殺害されてしまう。と、そこへ名探偵明智小五郎が現れる。・・・・
フランスの
マルセル・シュオップの小説『黄金仮面の王』にヒントを得て作られた。全般的に乱歩独自の猟奇的な色彩は薄いが、より娯楽性に富んでいる。作者は
モーリス・ルブランの
アルセーヌ・ルパンシリーズのような大衆受けのする作品を目指したと述べている。(桃源社『江戸川乱歩全集』あとがきより 1962年)