古くは、
古代ギリシア名として
Pontos Axeinos(the dark or somber sea)とも呼称されていた。
ビザンツ帝国の文書内では
Pontosとだけ記述されている場合が多い。
中世の
アラブやオスマンの文献では、多数の名称が用いられている(
ローマの海、偉大なる海、
トラブゾンの海、等)。黒海という名称が文献に現れ始めるのは、オスマン帝国初期である。しかし、なぜ「黒」と形容されたのかについてはいくつかの仮説はあるものの明らかになっていない
[Charles King"The Black Sea: A History", Oxford University Press, 2004]。
面積は436,400 km2ある。最大
水深は2,206m。名称は黒味を帯びた
海水に由来し、この黒味の原因は硫化鉄であるとする説と、地中海よりも豊富な微小
藻類であるとする説がある。前者は次のように説明される。黒海の海水は水深200mを境として冷たく塩分の薄い表層水(河川から流入し、地中海へ流出)と、暖かく塩分の濃い深層水(地中海から流入)が層を成して混合しない。このため深層水では
酸素が欠乏し
嫌気性バクテリアによって
硫化水素が発生し、海水中の
鉄イオンと結合し黒色の
硫化鉄を生成する。表層水は充分な酸素を含むため豊かな生態系を擁しており、
漁業も行われている。
地政学的に黒海を考える時に、北に
ウクライナ、南に
トルコ、東に
グルジアという欧州を代表する国際機構、
NATO(トルコは加盟)、
EUへの加盟を目指しつつも実現出来ていない国々があることから、近年「黒海地域」という黒海周辺国家をヨーロッパの境界線上のようにとらえる研究が出てきている。上記の国々が所属する国際機構、
黒海経済協力機構(BSEC)や
GUAM(トルコはオブザーバー)は、最終的な目標として「欧州との統合」を掲げている点が共通している。その点から、
欧州とは何か、「ヨーロッパ性(Europianity)」とは何かを考える際に、黒海が一つの地域(Black Sea Zone)として再定義されている
[Charles King"The Black Sea: A History", Oxford University Press, 2004]。